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トピックス

コラム

背が低いことが心配な方へ

■低身長の評価
身長の評価には成長曲線(資料①)を用いるのが一番です。身長曲線の「平均」を表す曲線の上下にある「SD(標準偏差)」は、標準身長からどれくらい離れているかを示す幅のようなものです。学校でよく使う偏差値がこれに値し、-1SDは偏差値の40、-2SDは偏差値の30に当たります。-2SD以下の身長を一般的に低身長と呼んでいます(資料②)。同年齢の子どもが1000人いたとすると約22人が-2SD以下になります。成長曲線上、身長が-2SD以下で経過していたり、突然成長の増加速度が低下した場合(年間4cm以下)には医療機関を受診したほうが良いでしょう。

■低身長の原因
低身長のほとんどの原因は、家族性(両親の身長が低い)あるいは思春期が遅い(この場合も両親が思春期の発来が遅い場合が多い)ことによります。また出生時の身長と体重が同じ在胎週数の子どもの-2SD未満(何れかが10パーセンタイル未満)である「SGA (small for gestational ageの略) 性低身長症」も近年増加しています。その他、栄養や食事に問題があったり、内臓にしょう害のある場合、甲状腺ホルモンや性ホルモンの分泌異常、染色体や遺伝子に異常がある場合など、低身長がみられる病態は様々です。

■成長ホルモン治療
成長ホルモン治療は、まず身長のSD値が-2SD以下であり、2種類の成長ホルモン分泌負荷試験で成長ホルモンの頂値(最も高い値)が基準以下(6.0 ng/mL以下)の場合に「成長ホルモン分泌不全性低身長症」と診断され、治療の適応になります。「成長ホルモン分泌不全性低身長症」の中でも、突然成長の増加速度が低下した場合には、脳腫瘍などが原因の場合もあるので注意が必要です。
「成長ホルモン分泌不全性低身長症」でなくても、「SGA性低身長症」は成長ホルモンの分泌に異常が認められなくても成長ホルモン治療の適応になります。また「ターナー症候群」、「プラダ―ウイリ症候群」、「ヌーナン症候群」といった染色体、遺伝子に異常を認める疾患や、「慢性腎不全」、「軟骨無形成症」も、低身長に対して成長ホルモン治療が行われます。

■成長ホルモン以外の治療
低身長に対し最も大切な対応は生活習慣、食習慣を整えることです。すなわち、蛋白質を中心に十分な栄養を摂ること、定期的に運動すること、そして生活時間を規則正しくし十分な睡眠を取ることです。また成長ホルモン治療の適応にならなかった場合でも、男子ではある一定の年齢以上でタンパク同化ステロイドを内服することで身長増加が望めます。また血中亜鉛濃度が低い低身長では、食生活の改善とともに亜鉛製剤の内服により身長増加がみられます。

浦上小児内分泌・糖尿病クリニックでは、低身長の原因を正確に診断し、その病態に合った適切な治療を行うことで、低身長改善の治療を行います。まず背が低いことが心配な方は是非本クリニックを受診し、ご相談ください。

資料① 成長曲線(Novo Nordisk提供)


資料②
低身長(-2SD以下)の目安