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低身長

低身長の評価

身長の評価には成長曲線(資料①)を用いるのが一番です。身長曲線の「平均」を表す曲線の上下にある「SD(標準偏差)」は、標準身長からどれくらい離れているかを示す幅のようなものです。学校でよく使う偏差値がこれに値し、-1SDは偏差値の40、-2SDは偏差値の30に当たります。-2SD以下の身長を一般的に低身長と呼んでいます(資料②)。同年齢の子どもが1000人いたとすると約22人が-2SD以下になります。成長曲線上、身長が-2SD以下で経過していたり、突然成長の増加速度が低下した場合(年間4cm以下)には医療機関を受診したほうが良いでしょう。

資料① 成長曲線(Novo Nordisk提供)

資料② 低身長(-2SD以下)の目安

低身長の原因

低身長のほとんどの原因は、家族性(両親の身長が低い)あるいは思春期が遅い(この場合も両親が思春期の発来が遅い場合が多い)ことによります。また出生時の身長と体重が同じ在胎週数の子どもの-2SD未満(何れかが10パーセンタイル未満)である「SGA (small for gestational ageの略) 性低身長症」も近年増加しています。その他、栄養や食事に問題があったり、内臓にしょうがいのある場合、甲状腺ホルモンや性ホルモンの分泌異常、染色体や遺伝子に異常がある場合など、低身長がみられる病態は様々です。また心理社会的な要因(虐待や大きなストレス)も低身長の原因になります。

成長ホルモン治療

成長ホルモン治療は、まず身長のSD値が-2SD以下であり、2種類の成長ホルモン分泌負荷試験で成長ホルモンの頂値(最も高い値)が基準以下(6.0 ng/mL以下)の場合に「成長ホルモン分泌不全性低身長症」と診断され、治療の適応になります。また成長因子であるソマトメディンCも視聴ホルモン分泌の指標になります。「成長ホルモン分泌不全性低身長症」の中でも、突然成長の増加速度が低下した場合には、脳腫瘍などが原因の場合もあるので注意が必要です。

「成長ホルモン分泌不全性低身長症」でなくても、「SGA性低身長症」は成長ホルモンの分泌に異常が認められなくても成長ホルモン治療の適応になります。また「ターナー症候群」、「プラダ―ウイリ症候群」、「ヌーナン症候群」といった染色体、遺伝子に異常を認める疾患や、「慢性腎不全」、「軟骨無形成症」も、低身長に対して成長ホルモン治療が行われます。

成長ホルモンは在宅で毎日ペン型注入器を使って注射します。小学校低学年までは保護者が行うことが多いですが、それ以上の年齢ではお子さん自身が注射します(自己注射)。針先が見えず、また注射応援のアプリが搭載された注入器もあります。

成長ホルモン治療は開始時期が早いほど身長増加の効果が良いと言われますが、3歳以降で治療可能です。また成長ホルモン治療終了の目安は、大凡女児では12~15歳、男児では13~16歳くらいです。その時期に女児では145cm以上、男児では160cm以上の身長が目標になります。

成長ホルモン以外の治療

低身長に対し最も大切な対応は生活習慣、食習慣を整えることです。すなわち、蛋白質を中心に十分な栄養を摂ること、定期的に運動すること、そして生活時間を規則正しくし十分な睡眠を取ることです。また成長ホルモン治療の適応にならなかった場合でも、男子ではある一定の年齢以上でタンパク同化ステロイド薬を内服することで身長増加が望めます。また血中の亜鉛濃度が低い低身長では、食生活の改善とともに亜鉛製剤の内服により身長増加がみられます。
「成長ホルモン分泌不全性低身長症」では甲状腺機能の低下や副腎皮質機能低下、2次性徴発来のしょうがいを伴うこともあるので、その場合にはそれぞれのホルモンを補う必要があります。

本クリニックでは、低身長の原因を正確に診断し、その病態に合った適切な治療を行うことで、低身長改善の治療を行います。まず背が低いことが心配な方は是非本クリニックを受診し、ご相談ください。

低身長、甲状腺疾患、副腎疾患など、
小児の内分泌疾患を専門としています

小児期に発症した様々な内分泌疾患(脳下垂体、性腺、甲状腺、副腎などのホルモンを産生する内分泌臓器の疾患)の治療を行います。内分泌疾患はその原因と病態、病状によって治療が異なりますので、適切に診断、治療を提供します。
また小児・思春期の内分泌疾患は、小児期だけでなく成人期以降のQOL(生活の質)にも大きく影響しますので、専門医による適切な医療が必要です。

インスリンポンプ治療、CGMなど、
幅広い糖尿病治療を行っています

当院は持続皮下血糖モニター (CGM) やインスリンポンプ (CSII) 使用の認定施設です。
患者様の病態に合致した適切なインスリン治療をどこの施設よりも早く提供できます。